バッハ狂いの彼がドイツにフルート留学して丸1年?
1973年4月!
52年前のこと!
自分は大学4年生になったばかりだった。
彼がフルートで演奏する
バッハの『フルートソナタ』や
バッハの『音楽の捧げもの』トリオ・ソナタを
一緒に弾きたくて始めた『インベンション』だった。
小学生の頃に
ツェルニーやソナチネやブルクミュラーを
習っただけの自分には
バッハに代表されるバロック音楽に特有の
対位法の演奏法がまったくめずらしく
最初は大いに戸惑った。
小中学校の同級生で
当時愛知県立芸術大学作曲科の学生だった女の子に
『インベンション』のみお願いしますと言って
弟子入りしたのが53年前。
彼女のもとで2声は15曲を一通り終え、
3声は3曲ほど手をつけたところで辞めた。
大学卒業後、9時-5時の会社員をやりつつ、
夜は週4日、小学館ホームイングリッシュセンター
中学生クラスの講師として忙しくなったためだ。
やがて結婚に伴う引っ越しが相次いで、
それっきりとなり
50年近い年月が容赦なく流れた。
大学時代の彼はとっくの昔に帰国して
地方でフルート教師および演奏家として活躍している。
今さら彼と一緒に演奏する機会もないし、
第一、自分は
バッハをちゃんと演奏できるレベルではない。
しかし、
50余年前に出会ったバッハの鍵盤楽曲は
今も自分を魅了する。
その基礎として必須の『インベンション』を
生あるうちに学ぶことは長年の念願だった。
こうしてコロナ禍の2021年9月
家から徒歩30分のところに良い先生を見つけた。
体験レッスンを受けた3人の先生の中で、
最も遠く、最も安く、最も素晴らしい先生!
仕事の繁忙期や、病気、事故などで
何度か中断しながらも
どうにか今日まで続けている。
2声は1番から順番にやってきて
3月31日についに13番に漕ぎつけた。
昔使っていた全音の楽譜を見ると13番は
1973年4月28日と5月16日にレッスンした記録がある。
今は音楽之友社の原典版を使用しているので
演奏法の解釈や指番号などかなり異なっている。
半世紀以上弾いていないと言っても、
何かしら指に昔の癖が残っているようだ。
昔の指番号に引っ張られて新しい指番号に馴染めなかったり、
逆に今の指使いの方が弾きやすかったり色々。
その両者の間の折り合いをつけながら
ゆっくりと進めている。